先週は介助しようとするところで、メガネをとられて投げられたのだが、今日は世間話が功を奏したか、すぐに首に手をまわしてくれる。
こわがりなせいで、腕は必要以上の力で私の首にからまっています。
車いすを押しながら浴室へ急ぐ。
まだ湯を抜いてなければいいが......。
浴室へ入るや否や、私は大きい声でしゃべる。
担当の寮母さんに聞かせるためだ。
「着替えだけしようね。助かったわ、着替えだけでもしてくれて」
さっそく寮母さんは行動開始です。
1人が話をしながら脱衣を手伝う。
もう1人がお湯の入った洗面器を手に、後ろから近づく。
「あ一!ごめんごめん。Eさん、お湯がかかっちゃった」
「まあダメじゃない。こんなに濡れて、ねえEさん。これだけ濡れたんだから、ついでにお風呂に入っていきなさいよ、ね」
うーん、うまい。
よく取調室の刑事が、厳しい役と人情役に分かれて犯人を落とすなんてドラマのシーンがあるが、あれを地で行ってるなあ。